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食材探索の旅

御食国(みけつくに)の幸を探しに、晩秋の若狭へ

服部学園講師陣による福井県若狭地方への食材探索の旅

11/23-11/25の3日間、「御食国」と称される美食の地域、福井県は若狭地域へ行ってまいりました。この地域は入り組んだリアス式海岸であるため、多種多様な魚を育み、越前がにや鯖、かれいなど大変美味で名高い水産物が水揚げされています。今回、この時期のおいしい海の幸を探すべく、昆布蔵の見学や漁港でお話しを伺うなどさまざまなふれ合いをし、この地域ならではの旬の食材に出会うことができました。

「御食国」と呼ばれる、若狭地域。

若狭地域は、福井県嶺南部、若狭湾を囲む自然豊かなところです。古代より、大陸の玄関口として栄え仏教文化の伝来ルートであったことから、市内には、国宝の寺社仏閣があり、“海のある奈良”などとも言われることがあります。また、豊かな食を有する地域であり、飛鳥・奈良の時代より、朝廷に塩や海産物などの食材を提供していたため、「御食国」と言われていました。現在でも水産業はもちろん、食品加工業や農業分野でも有機栽培や伝統野菜のブランド化がすすめられています。日本の食文化の象徴である塗り箸の一大産地でもあります。

福井県若狭地方 「御食国」と呼ばれる、若狭地域。

若狭ぐじ

  • 小浜漁港(小浜市)にて。

    小浜漁港(小浜市)にて。小浜漁連の職員の方々に、若狭ぐじの選別・管理などを説明していただきました。熱心に職員の方の話を聞き、まさに目から鱗のお話でした。

  • 本日の漁の成果。

    本日の漁の成果。ボチボチの釣果だそうです。

  • 特にこの時期のものは脂乗りがよく最高。

    特にこの時期のものは脂乗りがよく最高。ぐじはうろこが落ちやすく、デリケートな魚なので、ほかの魚と分けて港に揚げられます。

  • 「若狭ぐじ」

    「若狭ぐじ」。いわゆるアマダイのことですが、この地域で獲れ、厳しい条件をクリアしたものは「若狭ぐじ」と呼ばれます。第1に、釣りや延縄漁で漁獲されたものであること。第2に、鮮度が良く姿形が美しいこと。写真のように釣り針がついていることが品質の証なのです。

  • 厳選された若狭ぐじ 専用ラベル

    こうして厳選された若狭ぐじは魚体を傷つけないように慎重に取り扱われ一尾ずつ、港の名前と捕獲した船の名前が入った専用ラベルが貼られます。

  • 若狭ぐじのフルコース

    若狭ぐじのフルコース。代表的なのが、魚のうろこを取らずにそのまま焼き上げる「若狭焼き」。白身で淡泊な身質にも甘味があり、非常に美味です!
    水分が多くて身肉が柔らかい「若狭ぐじ」は塩で身をしめると水分もとれ、うまみが引き立ちます。焼き物の他に揚げ物・酒蒸し・椀種にも最高です。

  • 若狭ぐじを重量別に選定する機械

    若狭ぐじを重量別に選定する機械。大量に水揚げされたときには、稼働されるそうです。

昆布

  • 老舗昆布店「奥井海生堂」

    明治4年創業、老舗昆布店「奥井海生堂」へ訪問。4代目奥井社長から昆布についての説明と貴重な昆布蔵を見せて頂きました。

  • 日本料理の味に欠かせない昆布

    京料理はもとより日本料理の味に欠かせない昆布!実は福井県敦賀は古くから昆布貿易の中心地として名をはせてきました。昆布の生産地・北海道より北前船を通じて集められ、ここ敦賀より京の都へと出荷されていきました。

  • 左から、日高昆布、山出し昆布、羅臼昆布、蔵囲い利尻昆布

    4種の昆布をティスティングさせていただきました。左から、日高昆布、山出し昆布、羅臼昆布、蔵囲い利尻昆布。なかでも、山出し昆布は大好評!昆布の出汁の香りには、本当に心が癒されます。

  • 熱心に談義する服部講師陣 熱心に談義する服部講師陣

    昆布を前に熱心に談義する服部講師陣。食材に対しての情熱は並々ならぬ思いがあります。
    こちらの昆布は昔から、曹洞宗大本山永平寺や京都の有名料亭へも卸しています。最近では、「うまみ」への注目からフランスなど欧米への輸出も広がっています。

  • 平成22年に蔵に入れたもの

    平成22年に蔵に入れたもの。中には、10年物、20年物といったヴィンテージものもあるそうです。

  • 蔵囲い昆布 専用の昆布蔵

    「蔵囲い昆布」はここだけの特産品。奥井海生堂では、昆布のうまみを磨き、海藻臭を抜くために専用の昆布蔵で長い時間昆布を寝かせて熟成を深めます。
    蔵の中は薄暗く、少しひんやりしています。昆布と藁の独特の香りがなんとも優美な雰囲気を醸し出しています。

若狭ふぐ

  • 「若狭ふぐ」身がパンパンに締っています

    漁師さんの手にあるのが、「若狭ふぐ」身がパンパンに締っています。ふぐの特徴の一つが「鳴く」こと。腹をギュウと押せば、「ギィ」と鳴きます。

  • 「若狭ふぐ」の養殖場

    海に浮かぶ「若狭ふぐ」の養殖場を見せていただきました。晩秋の日本海は厳しい寒さです。

  • 養殖いかだが何艘もならびます

    養殖いかだが何艘もならびます。リアス式海岸の入り組んだ地形により、荒波の影響をあまり受けないため、この地域に養殖が根付きました。

  • 起伏に富んだ地形と豊かな水が育む自然環境

    ふぐといえば下関が有名ですが、福井県もブランド化されています。養殖フグは毒を持たず、安全にフグを賞味できるということで、最近では販路も急激に拡大してきました。起伏に富んだ地形と豊かな水が育む自然環境は、上質なフグを生み出します。

  • てっさ 焼きふぐ

    左がてっさ、右が焼ふぐです。他産地よりも水温が低く、じっくり身が引き締まっているのが特徴です。ぷりぷりで引き締まった歯ごたえのふぐは冬の福井の味覚です。

おわりに

今回、晩秋の若狭で3つの海の幸に出会えました。若狭の海は、春にはさより・やりいか、夏にはアジ・タチウオ、秋にはかれい・鯖など・・四季を通じて様々な魚が獲れるまさに魚介の宝庫です。ぜひ豊かな海の幸を求めて「御食国」若狭を訪れてみてはいかがでしょうか。