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HATTORI食育クラブ 食育通信No.27

対談

はたらく人の幸せがお客様の満足に繋がる
顧客満足の前に従業員満足を

力石寛夫
トーマスアンドチカライシ株式会社
代表取締役社長
平成21年4月、HATTORI食育クラブのセミナーが開催されました。サービス産業における「おもてなし」の真髄とは何か、ホスピタリティ業の第一線でご活躍されている力石先生にご講演いただきました。講演の要旨をお届けいたします。

おもてなしの心、ホスピタリティ

今回は「ES(EmployeeSatisfaction:従業員満足)」についてのレクチャーとなりますが、まずはサービス産業にはかかせない「ホスピタリティ」についてお話をさせていただきます。「ホスピタリティ」とは、物事を心、気持ちで受け止め、心、気持ちから行動することです。サービスとは何か、ホスピタリティの精神を日本に広めなくては、と思った経験がございます。私は日本の大学を卒業後、ニューヨーク州にあるポール・スミス大学に留学し、お客様のお水の注ぎ足しなどのサービスをする、バスボーイの研修を受けていました。はじめはうまくお水を注げず、インストラクターに注意を受けましたが、何十回と繰り返しているうちに上手に注げるようになりました。ところが、またインストラクターに注意を受けたのです。一体何がいけないのだろうと考えていると、彼がこう言いました。「君は動作や形は良いけれど、心が入っていない。お水を一杯注ぐ中に心がなかったら、われわれの世界はとても寂しいものになってしまうよ」日常生活、社会生活の中で、あなたは関わっている人と心の共有ができていますでしょうか。レストランで食事をしながらスタッフにほほ笑みを送ると、あうんの呼吸でうれしそうにほほ笑みを返してくれる。そんなやりとりにお客様の心はなごみ、また行きたいと思わされるのです。ホスピタリティを確立している企業は確実に伸びています。現在は100年に一度の不況とも言われていますが、今こそ必要なものではないでしょうか。

お客様と従業員が喜びをわかち合う

ホスピタリティと合わせて私が15年ほど前から伝え続けているのは、ES(Employee Satisfaction:従業員満足)です。みなさんはESより「CS(CustomerSatisfaction:顧客満足)」に馴染みがあるのではないでしょうか。CSはさかんに行われていますが、成功した事例は多くありません。それはESが置き忘れられているから。働く従業員が楽しく、幸せな気持ちで仕事をし、お客様と喜びを共有できていなければ、真のCSは実現できないのです。

www.yourtrustytime.org

従業員が求めるものとは

ESと聞くと、みなさんどんなことが思い浮かぶでしょうか。給料、福利厚生、労働環境…。こういう待遇面を挙げがちですが、じつは次のようなことです。
1.安心したい
2.信頼してほしい
3.参加したい
4.働く環境を変えてほしい、目標設定をしてほしい
5.勉強したい
このあとに、お給料、報酬を上げてほしいといった物質的な面が続きます。働く人たちにとって大事なことは、精神的な部分の環境なのです。 コミュニケーションは安心、信頼につながります。気持ちの良いあいさつはコミュニケーションの基本であり、あいさつなしに良い人間関係は生まれ得ません。 また目標や意見を共有するためのミーティングも大事です。全員で目標を共有し、全員の意見を聞き、チームワークがしっかりととれている職場は、自然発生的にCSも満たしていくのです。

www.epgguide.com

ヒューマン・リソース・マネジメント

客単価、立地戦略、販売促進、顧客管理…。サービス業に欠かせないこれらは、マーケティングの領域です。ESの世界ではマーケティングの前に、「ヒューマン・リソース・マネジメント(HRM:人的資源経営)」を理解しているかにかかっています。HRMは働く従業員のモチベーションとリーダーシップを高め、人材を友好的に活用することが目的となります。人を中心として動いているサービス産業において、人に関わる組織管理、労務管理、リクルーティング、教育などの機能を整えることが必要です。 働く楽しさやサービスの喜びを感じ、より豊かな人間性が育まれる環境。従業員のモチベーションが高まり、自らコトを起こしていく力を持ち、パートやアルバイトの人もリーダーシップをとってゆき、組織がどんどん活性化する。お客様の喜びが自分の喜び。心の時代と呼ばれる今、ESの環境づくりの大切さをご理解いただけると幸いです。

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