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食育通信対談
No.54
伝統のみそ、革新の液体塩こうじで健康を支える
おみそなら、ハナマルキ♪
ハナマルキ株式会社
代表取締役社長
花岡俊夫
服部栄養専門学校
校長/医学博士
服部幸應
安全・健康・美味を
誠実に探求して100年
服部
2018年に創業100年を迎えるそうですね。 100年間業界トップクラスの地位を守り続けるのは並大抵の努力ではなかったと思いますが。
花岡
弊社は大正7年、祖父の代に創業しました。最初はみそとしょうゆを製造していたのですが、祖父の弟が大手しょうゆメーカーの見学に行き、その規模の大きさに驚いて、とても太刀打ちできないと思い、みそのみに転身したそうです。
服部
長野はみそ会社が多いですよね。
花岡
昔は生糸の生産が盛んで。製糸工場では25万人の女工さんが働いていて、その方々が消費の中心でした。
服部
全国展開が始まったのは戦後ですか?
花岡
大正時代の終わり頃、東京に営業所を作ったようですが、当時みそ、しょうゆ、塩などの調味料は酒屋さんが販売の中心でした。みそは樽に入っていて、買いに行くと竹皮に包むなどして売るので、買う人は「ハナマルキ」のみそとは意識していなかったのではないでしょうか。
流通が大きく変わったのは、スーパーマーケットが台頭してきた昭和30〜40年代です。
服部
みそが個別包装で販売されるようになったんですね。
花岡
そうです。社名を入れたパッケージによって、みそがブランド化され、お客様に「ハナマルキ」を選んでもらわなければならない時代になったのです。
服部
「おみそな〜らハナマルキ♪」のCMが誕生したのもこの頃ですね。頭から離れない印象的なコピーとメロディですよね。
花岡
ありがとうございます。
服部
とはいえ、質が伴わなければ100年は続かない。名前に恥じない商品を作り続けていらっしゃる。それが何よりもすばらしいことだと思います。
厳格な取り決めの上で
大豆の契約栽培を依頼
花岡
みその原料は、大豆、塩、こうじのみとシンプルです。大豆の品質が商品の品質に直結していますから、大豆の調達に大変な力を入れています。
服部
大豆の種から厳選しているとお聞きしましたが。
花岡
はい、大豆の栽培はアメリカ、カナダの農家で契約栽培しています。みそ用大豆は、品種全体の3〜4%しかないのですが、その中で、それぞれの土地に合った品種を選別しなくてはなりません。農家の方は生産効率の悪いものは嫌がりますから。研究所で発育検査をして、品質、適性をチェックすることが重要です。
服部
遺伝子組み換えのチェックも?
花岡
遺伝子組み換えは、種の段階ではもちろん、収穫後も検査をしています。隣の畑と最低5メートル離れていること、減農薬栽培など厳格な契約を結んでいますから、厄介な会社と思われているかもしれません(笑)
農家の方にはエンドユーザーのことも知っていただきたいので、毎年一組の夫婦を日本に招待しています。長野と群馬の工場を見学してもらったり、日本の文化を紹介したりして、私たちの企業ポリシーへの理解を深めてもらっているんですよ。
服部 そこまできめ細かく取り組まれているとは! 安全・美味を本当に誠実に実現されていることに改めて感心しました。然るべき理由があって、100年続く企業でありえるということですね。
日本では和食回帰
海外では和食ブームを
服部
日本食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことをきっかけに、和食回帰現象が見られるようになりました。また、みそ、しょうゆは海外でも人気が高まっていますよね。
花岡
インスタントのみそ汁の売り上げが伸びていますね。みその消費量も減少の一途を辿っていましたが、ここ1年盛り返してきていますよ。
長野の伊那工場に1年に親子700組を招待してみそ作り教室を開催していますが、こちらも希望者が年々増えているようで、和食や伝統食への感心は高まっているように感じています。
世紀の大発見!?
液体こうじ
服部
塩こうじの分野では業界初の「液体塩こうじ」を発明されたとか。
花岡
はい、2012年に発売を始め、今一番力を入れている商品です。
服部
白い粒つぶがあるのが従来の塩こうじのイメージでしたが、みりんのように透明な液体というのに驚きました。
花岡
塩こうじは酵素が多く健康にいいのはもちろん、どんな料理にも使え、旨みやコクを深めてくれる魔法の調味料です。肉も柔らかく仕上がりますし。ただ、白いこうじが入ったままですと、見た目が今ひとつとか、焦げやすい、外国人の方には、匂いが気になるなどいろいろご意見もありまして。熱処理することなく酵素を生かしたままもっと使いやすくすることが課題になっていました。あるとき、しょうゆ工場でもろみを搾っている様子がヒントになって……。
しょうゆの圧搾技術に加え、ビールの製造で使われる目の細かいフィルターで濾過するという、日本の醸造技術の総決算で生まれたのがこの液体塩こうじなんです。
服部
粒つぶの塩こうじより断然使いやすいですよね。
花岡
画期的な調味料だと自負しています。水産、畜産加工の会社や外食産業ではすでに重宝されていますが、ご家庭では、従来の塩こうじとあまりに形状が違い過ぎるため、認知度はまだまだですね。
服部
あと2、3年もすれば当たり前のように使われるようになるのではないでしょうか。
花岡
みそも塩こうじも日本の伝統調味料であり、日本人の体質にも大変合うと思うんです。代謝しやすいというか、すんなり体には入るというか……。発酵食品の意味はここにあり、と。
服部
伝統食を通して、健康を届ける。それが「ハナマルキ」の企業ポリシーということが大変よく分かりました。これから若い方々に伝統食の良さをもっともっと伝えられるよう、お互いに頑張っていきましょう。
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