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HATTORI食育クラブ 服部幸應コラムNo.27

洗濯機と食育

手をかかげて眺めてみれば、くっきりとした輪郭。どんなに見つめても外の世界に溶けこむことはなく、自分の体はきちんと独立しています。
しかし、洗濯機をヒントにして体に宇宙を見ることができます。

ある洗濯機を想像してみてください。
洗濯機には水が溜められていますが、水道につながっておらず、排水口もありません。水槽に汚れた服をいれて洗濯をします。水に汚れがうつり、漕の中でぐるぐるとにごった水と服がまわり続けています。
もはや洗濯機として機能していないようです。

おもちゃの車を想像してみてください。
電池でおもちゃの車を動かし続けます。やがて、自然と車は止まります。なぜ動かなくなってしまったのでしょうか。それは、電池の中の電気が車を動かす運動に変わり、すべて使われたためです。

孤立した洗濯機やおもちゃの車を「閉じたシステム」と呼びましょう。閉じたシステムの中ではきれいな水や電気など使いやすいものは減って、増えることはありません。
「閉じたシステムの中では、使いにくいものが増えていき、元には戻らない」
これは、自然界の法則です。
使えるものが使えないものにすべて変換しきったとき、システムは停止します。

生物にとってのシステム停止は、死です。
熱はある意味では「使った後」のものです。私たちは体内のエネルギーを使って体を動かすと、熱を発生します。熱は使えるエネルギーには戻りません。私たちはエネルギーを使い熱を発生させ続けていますが、おもちゃの車とは異なり、ずいぶん長い間、エネルギーが切れ、熱がこもってシステムを停止することから逃れています。生物はシステムが停止する自然界の法則に抗うことができる特別な存在なのでしょうか。

もちろん、生物も自然界の法則にそって生命活動をおこなっています。私たちは環境から食べものや水、空気を取り入れ、環境に熱や呼気、排泄物、汗を排出し、絶えず体を入れかえることで使いやすいものを保ち、使いにくいものをとどめないようにしています。洗濯機は新しい水を取り入れ、排水することで成り立つことに似ています。1年前とはまったく違うものでできている自分。骨でさえ、7?8ヶ月でほとんど入れかわっているといわれています。
生物は「閉じたシステム」ではないために、かの法則があてはまらないのです。存在を環境に開き、環境とつながっているからこそ生きることができます。

環境もまた、使いにくいものをコントロールする必要があります。私たちの環境にはまた使いにくいものを排出する環境があり、またさらに環境がある…という、多重構造のシステムになっています。たとえば地球も、熱がこもってしまうと生物の生きられる環境ではなくなってしまいます。地球にとっての環境は宇宙であり、地球が熱を排出するためには水循環がかかせません。
水は地上で熱を受けとって水蒸気となり、空へのぼって、重力によって地球にひきとめられ、宇宙に放熱して液体にもどり、ふたたび地球上に雨や雪として戻ってきます。

「閉じたシステムの中では、使いにくいものが増えていき、元には戻らない」という法則は、熱力学の「エントロピー増大の法則」というものに当てはまります。エントロピーとは「乱雑さ」と言いかえられ、使いにくさの指標といえます。現在、環境問題をはじめ私たちが生きる上で重要な考え方となっています。

当たり前の洗濯機。当たり前の私たち。
くっきりと世界と分かたれているように見える体も、空高くのぼって戻ってきた水、かつて土だった物質、太陽の光だったエネルギーなどが姿を変え、あらゆる生物を媒介して存在させている、大きな流れの中のひとときの姿です。
生きていること自体が、宇宙はひとつであることを物語っているようです。

ミネラルウォーターを知って選んで楽しむ「食育」

最近は生活の一部になりつつある「ミネラルウォーター」。一言で「ミネラルウォーター」といっても、いろいろな種類があることはご存知ですか?

実は、ミネラルウォーターは、水源・ミネラル成分の有無などで、「ナチュラルミネラルウォーター」「ナチュラルウォーター」「ミネラルウォーター」「ボトルドウォーター」の4つに分類されてます。この分類は、ミネラルウォーターのラベルに書いてあるので、すぐにわかります。

中でも、日本よりはるか昔から、ミネラルウォーターを楽しむ文化のあるヨーロッパでは、「ナチュラルミネラルウォーター」となるためには、水源の環境管理まで義務づけられるなど、水を守るための厳しい基準があり、水の安全とおいしさが保たれています。「ナチュラルミネラルウォーター」は自然によって育まれ、その産地によって様々な特徴を持っているものなのです。

このように、身近にありながら、意外と知らないミネラルウォーター。その成り立ちを学んで違いを知り、シーンにあわせて選び、味わいを楽しむ。こんな「食育」はいかがですか?

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