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HATTORI食育クラブ 服部幸應コラムNo.38

うるわしのバランス、味覚

草原に咲く赤い花。
広く穏やかな川の、浅葱色と萌葱色の流れ。
暮れなずむ太陽の赤さから、宇宙の深いブルーブラックへのグラデーション。

対比する色、引き立て合う色、自然の織りなす色の組み合わせは無限で、それぞれの美しさで私たちを楽しませてくれます。
グレーの砂は、白い紙の上では黒く、黒い紙の上では白く見えます。人の感性は相対的で、バランスを見ることに長けているように思えます。そのバランスが自分にとって生きるに有効なとき、人はうるわしいと感じるのかもしれません。

対比と相乗。バランスやコンビネーションは、味覚の世界でも注目され続けています。

スイカに塩、小豆に塩を越え、塩スイーツ、しょうゆスイーツといったものが、昨今は流行しています。
甘いお菓子にほんのりと塩味。味を引き立て合うこともあれば、甘さとしょっぱさが交互に現れるようなストーリーとなることもあります。甘味や塩味などが合わせられておいしくなることを、味覚の対比効果といいます。

味覚の有名な組み合わせは、昆布とかつお節の合わせだしでしょう。
グルタミン酸とイノシン酸の相乗効果です。合わせることで9倍もうま味が増すと言われ、トマトと鶏肉、アスパラとベーコンなども相乗の妙でとてもおいしいものです。

また何と組み合わせてもおいしい、日本の万能調味料のしょうゆの塩分濃度は17?20%ほど。
海水をなめると大変に塩辛く感じますが、塩分濃度は3%前後です。しょうゆにふくまれるアミノ酸などの成分が、塩味をまろやかにしているのでしょう。

味覚にはそれぞれ意味があることは周知の事実です。甘味はエネルギー源となる糖質の味、塩味はミネラルの味、酸味はくさったものを見分けたり、体を回復させる味、苦味は毒を見分けたり、毒を排出させる味、うま味は体をつくるアミノ酸といったことです。
そしてバランスを見る感性がおいしいと感じるものは、自分を生かすに有効なものと考えられます。
逆に、感性を豊かに保たなければバランス感覚は鈍ってしまい、自分にとって良いものを判断する力が弱くなってしまうかもしれません。

相対的なうるわしのバランスを感じ、守ってゆくことは、絶対的に私たちの幸せをつくっていくことではないでしょうか。

しょうゆの変化

日本人にとって欠かすことのできない調味料のひとつ「しょうゆ」。
どのご家庭でも和食はもちろん、あらゆる料理の下ごしらえ、調理、仕上げに使用されています。

古くから日本各地で生産されてきたしょうゆは、それぞれの地域の嗜好や醸造の歴史などにより、さまざまな個性を持っています。
その種類は「こいくち」「うすくち」「たまり」「さいしこみ」「しろ」と5種類に分類され、それぞれ特徴のある味わいを持ち、それらを生かしたいろいろな使われ方をしています。

また、しょうゆは他の調味料とあわせることで、新たなおいしさを生み出すことができます。
しょうゆにみりん、砂糖、だしなどを合わせて、めん類、煮物、鍋物、天ぷらなどにも使えるつゆができたり、他にもたれ、ドレッシングなどその姿をいくつもかえていき食卓を楽しませてくれます。
この料理の名脇役である「しょうゆ」が最近ではスイーツと融合し、しょうゆ味のケーキ、ビスケット、ジェラートにチョコレートなど主役として活躍しています。

日本の食文化の代表であるしょうゆは、今後も様々な形で私たちを楽しませてくれることでしょう。

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