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食育通信対談
No.26
「おもてなしの心」をお皿にのせて
森田 薫
株式会社 八芳園 総料理長
(写真左)
服部 幸應
服部栄養専門学校 校長/医学博士
(写真右)
森田
「世界料理サミット2009」の開催おめでとうございます。実行委員長としてかなりご苦労されたのではないでしょうか?
服部
苦労もありましたが、それ以上にご協力、ご参加いただいた皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。ご覧になられていかがでしたか?
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森田
会場の広さと規模に圧倒されましたが、始まると各国のシェフの料理人のあり方に魅了されて、時間があっという間に経ってしまいました。料理に対する考え方やコンセプトなど、とても勉強になりました。
服部
そう言っていただけると嬉しいです。ヨーロッパでは10年ぐらい前からトップシェフが集まり技術や技法を発表する料理学会を行っていました。一度、お招きを受けて見に行ったのですが、画期的ですごく素晴らしかった。これは日本でも行わなければいけない、その想いが今回の開催につながったのです。
森田
私は、料理の世界に40年間いますが、お客様に満足していただけるものを作るためにここまで真剣に取り組んでいたかと改めて考えさせられました。それとスタッフには「経験も大事だが料理は化学だ」と言ってきたのですが、聴講してその考えは間違っていなかったと確信しました。彼らは常にあらゆる分野の知識を取り入れて新しいアイデアを生み出しています。人間はどうしても妥協するものが出やすいものですが、彼らの真摯な態度には衝撃を受けました。
服部
これまで日本の料理界というのは保守的な部分が多かった。しかし世界の料理のトレンドは変わりつつあります。クラシックな伝統料理も大事だし守っていかなければなりませんが、世界の料理界の潮流に目を広げて新しい何かを作って欲しいですね。
森田
次回は八芳園の若手から中堅の人たちに見せてあげたい。ここから日本の料理界が変わる、それぐらいインパクトがありましたね。
服部
お客様を満足させ喜んでもらうことに関しては、私は日本には八芳園さんがあると自信を持って言えます。料理長のお立場でお考えになる「おもてなしの心」とはなんですか?
森田
ありがとうございます。私たちは「おもてなしの心」と「空間」をとても大事にしていますが、「調理」と「料理」の差と言えるかもしれません。
服部
それはなんですか?
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森田
「調理」とはレシピの通りに作ること。作業といっても良いかもしれません。これは私の考え方ですが、そこに召し上がっていただくお客様の喜んでくださる顔を浮かべて作り、お皿に盛り付けてお出しすることで「料理」になると思うのです。お召し上がりになる人の顔を思い浮かべてメニューを作り、タイミングを見ながらお出しする、そして1日の最後には、今日のお客様は喜んでくれたかと考える、それが大事なことだと教えています。
服部
「おもてなしの心」を大事にする八芳園さんならではですね。
森田
八芳園は門をくぐると緑が覆い茂り、静寂の中に安らぎを感じることができます。そして館内ではその緑を愛でながらお食事を楽しんで頂きたい。癒しの空間を食事を通じてご提供したいと思っています。
服部
これからの時期ですと八芳園の桜を多くの人に堪能して頂きたいですね。本日はお忙しい中、ありがとうございました。
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