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HATTORI食育クラブ 食育通信No.10

対談

食育を提唱する服部幸應氏と、知育玩具「Beena」の制作・販売を
手掛ける株式会社セガトイズ 常務取締役 横関謙治氏が
「食と玩具」について語ります。

横関 謙治
株式会社セガトイズ 常務取締役
(写真右)

服部 幸應
服部栄養専門学校 校長/医学博士
(写真右)
横関
私たち、玩具メーカーにとっては耳の痛い話です。確かにゲームの種類によって一方通行ゲームだと、脳の部分でいうゲーム脳の活性がなく、ほとんど考えていないのです。放心状態ではっと気づいたらゲームをやっている可能性が非常にあります。
私たちはソフトを企画する時は双方向、それもゲーム機とではなく家族や友達とコミュニケーションをとれるようなソフトの開発を考えています。また、遊びながら「学ぶ」という教育的要素「エデュケーショナル」と玩具の楽しさ「エンターテインメント」を組み合わせた製品やサービスを提供する事業を展開しています。
去年より知育・徳育・体育・食育・安全の五育を取り入れているソフトの販売を開始しました。
服部
アメリカで、おもしろいゲームがありました。先生の前に「sometimes foods」と「anytime foods」と書かれた2つのボックスが置いてあります。そして、オレンジ、アスパラガス、鳥肉、ソーダ、フレンチポテト、ハンバーガーなど食べ物や飲み物のカードがあります。
3歳の子どもたちがこれらのカードをどちらかのボックスに入れるのです。
横関
いつも食べているモノなのか、時々食べるモノなのか、ということですね。
服部
そうです。子どもたちが、ソーダなどを「anytime foods」のボックスに入れると、先生が「違うよ、これはsometimes foodsだよ」と。食育の3本柱の1つですが、ものを選ぶ能力を3歳からつけさせるのです。
横関
素晴らしいことですね。教育の中に遊びをいれると覚えが早いし記憶にも残ります。
例えば、交通ルールを学べるソフトで遊んだ子どもが、「お父さん、ここに止めてはいけないんだよ、駐車禁止っていう所だよ」と言うのです。バーチャルな世界の中で知識として得たものをお父さんに言うのです。お父さんは「そうだな、駐車場に入れないとね」と言うでしょう。そこにはコミュニケーションも生まれます。
服部
なるほど、ゲームからしつけやルールを教えるのは良いことですね。
横関
はい、例えば、プレイ時間などもあらかじめ決めておいて守らせることは、ルールを守ること、つまり「しつけ」にもつながります。
服部
これからも楽しく遊べるソフトの開発に期待しています。
横関
幼児期の時から「考える力」、最終的には「決断力」を養える。
そんなソフトを作ろうと頑張っています。
服部
先月、アメリカへ行って感動した事があります。3歳、4歳児に料理を教えるアメリカの学校を訪ねた時のことです。先生が「これから、バナナプディングを作ります」と言って、見本を子どもたちの前で作るのです。
そして「はい、できたよ。あなたたちも作ったら、先生のところに持ってきてね」と言います。子どもたちは「できました」と先生のところへ持って行く。この時、日本語で何て褒めてあげますか?
横関
「よく1人で頑張って作ったね」と褒めます。
服部
そうですね、「おいしそうだね」などと褒めますよね。英語では、何て言うと思いますか?
横関
「good job」ですか。
服部
そのとおりです。大人の私たちが言う「goodjob」は「あーいいよ」ぐらいなのですが、3歳児はgoodは良い、jobは仕事と別々な感覚で捉えるんです。子どもには、「いい仕事をしたね」という意味ですね。
「ちゃんと作り上げる=仕事」と教えているんですね。こうして小さいときから「仕事」を意識させると、親のすねをかじっているニートがいなくなるんです。
横関
そこにつながるのですね。確かに、三つ子の魂百までもと言いますが、幼児期の教育はとても大事ですね。
服部
昔、子供達は外で遊んでいましたよね。大きな子供から小さな子供が混じって遊ぶ事で、集団生活や社会形成を学んでいました。 しかし、遊び場所の問題もあるのでしょうが、子供達は段々と家の中でゲームをして遊ぶ事が多くなってきています。
子供達は「孤」食の傾向もあり、コミュニケーション能力が低下しているのではないかと危惧しています。

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