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HATTORI食育クラブ 食育通信No.24

対談

日本の「だし文化」と「うま味」を伝える

二宮 くみ子
味の素株式会社 広報・CSR部
学術情報担当部長
(写真右)

服部 幸應
服部栄養専門学校 校長/医学博士
(写真右)
服部
味の素さんの「食育」活動の一環で「味覚教室」を開催されていますが、どのようなものなのでしょうか?
sallywatch
二宮
はい、「味覚教室」は「おいしさ」や「味の感じるしくみ」そして、和食を支える「だし」と「うま味」をコンセプトに2005年から始まりました。その年の夏ごろにまず、小学校の先生たちとチームを組んで教科書を作りました。食事を味わうために必要な5つの味覚、甘味、酸味、塩味、苦味そしてうま味について学んでもらうために、低学年には、「おいしい」とはなにかを知ってもらい、中学年で、「うま味」とはどんなものかを知って、そして高学年になると、日本のだし文化と「うま味」の大切さを知ってもらうというように段階的に作っています。
服部
楽しそうな授業ですね。これまでどれくらいの学校を訪問されたのですか?
www.replicareps.com
二宮
2005年11月から訪問を始めました。2006年は、20校で、教師もわずか4名しかいませんでした。今年は100校を目標に、9月末現在で49校を廻りました。教師も全社でボランティアの方を募集したところ、150名の方に集まっていただきました。
服部
この授業で料理に興味を持った子どもが将来、すばらしいシェフになるかもしれませんね。ところで教科書以外の教材では何をお使いですか?
二宮
私たちの授業では、自社の製品は一切使いません。本物の昆布や鰹節を使っています。昆布は見たことはあるけども鰹節を見たことがない子どもが多いです。実際、鰹節を削って、だしの試飲をするのですが、とても楽しそうです。この体験を通して食べ物に興味を持ってもらったり、おうちに帰って家族との会話に役立ててもらえると嬉しいです。
服部
「味覚」は、味見だけではダメなんですね。その周辺のいろんなものを見て覚えるもの。そういう意味では味の素さんの「味覚教室」は大変有意義なものですよ。
二宮
ありがとうございます。実は昨年から、「うま味」の原点を学んでもらおうと、親子20組と夏休みに北海道の利尻島と礼文島に渡り、ウニの生態や昆布の選び方を学びながら、プロの料理人の方の手ほどきを受けて昆布だしを使った日本料理を作るツアーを組んだんです。
服部
子どもたちは喜んだでしょう?
二宮
ウニが昆布を食べて育っていることに驚くなど、自然環境を肌で感じた子が多く、とても喜んでくれました。私たちも驚いたというか嬉しかったことがあるんです。自分で作った料理で嫌いな野菜を食べることができた子どもがいたんです。
服部
「自然の中という環境」と「自分の作った料理」は好き嫌いを克服するキーワードかもしれませんね。味の素さんは、世界に向けて「うま味」を発信されていますが、世界の方々は「うま味」をどうとらえていますか?
二宮
「うま味」は、日本で発見・命名されたもので、外国では認知されていませんでした。美味しさを表す英語の訳は色々ありますが、「うま味」を世界に伝えるのに適した訳がなく、世界ではそのまま「UMAMI」と表現されて広がってきております。外国の研究でうま味成分であるグルタミン酸が舌で感じるとわかったのは1980年代後半からで、2000年にアメリカのマイアミ大学で発表され、シェフの方々が料理に取り入れ始めたのは、つい最近、2004年ごろからと伺っています。
服部
ヨーロッパ特にフランスではなかなか「うま味」が理解されていないように思います。フランス人たちがおいしいと感じているのは、脂肪分なんではないでしょうか。文化、食材の違いがあるのでしょうね。例えば、水質の違いも大きな要因じゃないかと考えています。多くのヨーロッパの水、硬水では鰹節で味は出るのですが、昆布の味はなかなか出ないんです。しかし、少しずつですが、研究熱心なシェフたちは日本の食材を含め、「だし」や「UMAMI」を料理に取り入れようとしています。
二宮
来年開催されます、「世界料理サミット2009」で、日本の料理や食材だけでなく、「だし」や「うま味」を来日されるシェフのみなさんに是非とも知ってほしいです。
服部
日本の「うま味」を国際語の「UMAMI」にしていきましょう。

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