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HATTORI食育クラブ 食育通信No.15

対談

食育を提唱する服部幸應氏と、昭和2年に発売した、「インドカリー」や「中華まん」「月餅」が今年で80周年を迎える株式会社中村屋
代表取締役社長 長沼誠氏が「食とカレー」について語ります。

長沼 誠
株式会社中村屋 代表取締役社長
(写真左)

服部 幸應
服部栄養専門学校 校長/医学博士(写真右)
服部
私はカレーが大好きで、急にカレーが食べたくなるときは、新宿にある中村屋さんに飛んでいくのです。本格的なスパイシーな香りがし、こくのある味に魅入られています。
長沼
ありがとうございます。中村屋の「インドカリー」はインド独立運動の志士、ラス・ビハリ・ボースを本店のアトリエで匿ったことに始まるのですが、弊社の創業者の相馬夫妻がボースからお礼にと「インドカリー」のレシピを教わるのです。そして発売したのが昭和2年です。ちょうど昭和2年というのは、大震災のあとで、時代の移り変わりの節目でした。
服部
震災後は、関西の方から商人が進出してきましたし、古くからあるお店の建て直しが行なわれた時期でした。それまであった江戸の街が新たなものに生まれた時だったんです。
長沼
ちょうどそのときに、弊社はインドカリー、中華まん、月餅を売り出しました。変化に対応した経営を行なったのです。創業者が中国を旅しまして、中国の中華まんを食べて、非常においしいので日本人の口に合うように、改良して発売したんです。
服部
歴史のある中村屋さんは、まさに老舗ですね。老舗という言葉は、本来仕事を似せる(仕似す)と書くのです。しかしみっともない言葉なので、 当て字で老舗と書くようになったのです。「しにせ(老舗)とは革新」だと思うのです。老舗こそ金看板に甘んじず新企画を打ち出すことを大切にしているのです。
長沼
大事なことだと思いますね。弊社も安心・安全ということには非常に気を遣っていますし、世の中のためになることも考えなければいけませんので、親子の料理教室とか、お菓子を作る教室とかを手がけています。食を通して家族の団欒が少なくなってきている時代を感じるものですから。
服部
そうです。それぞれ「個」の時代になってしまって、非常に悪い状況になっています。
長沼
最近では親も生活が豊かになり子供に個室を与え、好きな時間に食事をしたり、なおかつITが進化し、ネットやテレビゲームで部屋に閉じこもり気味ですね。我々子供の頃は家族全員が一緒に食事をしていましたよね。
服部
同じものを食べて、同じ部屋で生活をしていました。勉強部屋や子供部屋なんてなかったですよね。私の家も1箇所にテーブルを置いて、あと障子紙だけです。子どもたちが何をやっているかいつも親から見えたのです。
長沼
部屋に入って自分の空間があったほうが、勉強が進むと思ってる方が多いのですが、必ずしもそうとは言えないですよね。
服部
そうです。親や兄弟の気配のするところで勉強をやらせると、安心感があって勉強が進むという調査結果も出ています。食育は、家庭向け、学校向け、地域社会向けのものがあり、それと見方を変えると、生産者と消費者という2つの構図ができますが、それぞれ考えなくてはいけません。
長沼
食に携わっている弊社としては、原材料や食材には充分配慮し、またこだわりを持っています。例えば野菜カリーは、添加物をあまり使わないで、野菜のうまみを活かしたり、お米もカリーに合う白目米という米を、契約農家に作ってもらっています。
服部
インドの次に日本はカレーを食べる国なので、是非老舗の中村屋さんには、安心・安全・健康で、体のためになるメニューの開発をこれからもやっていただきたいと思います。応援しています。
長沼
わかりました。ありがとうございました。

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