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HATTORI食育クラブ 食育通信No.46

対談

地域のチカラで食育!
誰も見たことのないちゃんこ鍋を

黒田 成彦(写真左)
長崎県平戸市 市長

服部 幸應(写真右)
服部栄養専門学校 校長/医学博士

日本と西洋が混ざり合う町

黒田
平戸市は地域の特産品をブランド化しようと、「平戸市地域資源ブランド化推進協議会」を立ち上げ、今年7月にHATTORI食育クラブに入会しました。
服部
自治体としてご入会いただいたのは初めてです。
黒田
独自の文化をアピールして、生き残りを図ろうと考えています。平戸は16世紀、ポルトガル交易のため、日本で唯一西洋に向けて開かれた窓口でした。
服部
鎖国となっていく時代ですね。
黒田
はい。平戸ではポルトガルやオランダの人々と交流をし、日本と西洋の文化が絶妙のバランスで解け合い、独特の文化が生まれたのです。築かれた文化の足跡、歴史的資産を、子どもたちにきちんと伝えていきたいと考えています。 www.okreplicas.com
服部
子どもへの伝統の継承は、食育の根幹です。地域独特の衣食住を伝えていくことは大切ですね。平戸市は食材自体にも特長があります。400年の歴史を背景に、南蛮渡来のものが使われ、かつ地産地消を実現できます。地域で育てられた海外のものが満ち溢れています。
黒田
お褒めのお言葉うれしいです。なかなか地元では、自分たちの魅力に気づきにくい特質があります。食育を平戸市でいかに伝えていくか、今後も服部先生にご助言いただけたらと思います。
服部
まさしく、これから進めようとされていることは食育です。親から子に、子から孫に。家族団らんの中で愛情をはぐくみながら、食文化を伝える。その中で食材の選び方を学び、食を作り出す自然環境を学んでいきます。
黒田
平戸市では、地産地消の考え方や食の安心・安全、バランス、食文化を検討し、「平戸市食育推進計画」を策定しました。保健、福祉、医療、農林漁業などすべてが連携し、食育をすすめています。入会を期に、平戸市民みんなで食育について考えていきたいですね。

オリジナル『平戸ちゃんこ鍋』

黒田
服部先生にご試食いただいた『平戸ちゃんこ鍋』は、現在の内容からさらに先生にご監修していただいて、ブランド確立を目指したいと思っています。
服部
なぜ独自のちゃんこ鍋を作ろうと考えられたのでしょうか。
黒田
ちゃんこ鍋といえば相撲ですね。2014年の10月、長崎県で国体が開催される予定で、平戸市は相撲競技の会場になっていることや、平戸の豊富な食材を詰め込んだ平戸の味としてアピールしていきたいと。
服部
なるほど。
黒田
江戸時代に相撲界を賑わせた力士「生月鯨太左衛門」が平戸市生月島の出身であることや、幼子を土俵に上げ、先に泣いたほうを勝ちとする「泣き相撲」が開催されたり、相撲をとって大漁祈願、五穀豊穣を願う奉納相撲などが行われていることもあり、平戸には相撲が根付いています。
服部
思い入れがあるんですね。ちゃんこ鍋には平戸の特長が入っているので、相当インパクトが高まって良いと思います。
黒田
今年の10月27、28日には、第一回の「平戸ちゃんこ鍋フェスティバル」を開催することにしました。境川部屋の親方も来ていただく予定です。
服部
そうですか。私も責任重大ですね。

www.cryo-watch.com

平戸特産のうまいもの

黒田
黒毛和牛のコンテストが佐世保であり、長崎県代表として平戸から6頭が出品されます。ちゃんこ鍋も和牛バージョンの展開も面白いと思っています。
服部
ちゃんこは四つんばいの動物は使わないといわれていましたよね。
黒田
ええ、でも最近は構わないようです。
服部
魚介類も豊富に入っていますから、おもしろいですよ。鍋というのはとても上手な発想ですよ。おいしさをすべて凝縮できるものといえば鍋です。
黒田
栄養バランスも良く、家族団らんができますしね。
服部
これだけのものを集約してアピールできるものはそう多くないです。
黒田
トビウオの水揚げも日本一ですから、アピールしたいですね。
服部
かじりながらお酒を飲むのは最高ですね。
黒田
そうですね。おいしいです。
服部
そしていい出汁がとれる。ちゃんこの試作を作られる際、何を使うか試行錯誤されたようですが、最後は地元のアゴ(トビウオ)を使うことになったと。料理も上手でとてもおいしいです。私の方でさらに手を加えて、平戸にちゃんこあり!としましょう。
黒田
よろしくお願いします。鍋は〆もいいですね。平戸ちゃんぽんとでも言いましょうか。
服部
ごはんにかけてもおいしいです。貝が入っていて、味が濃いからさらっとはいかないかもしれないけれど、乙な味ですよ。
黒田
ヒオウギ貝が入っているんですよね。
服部
こんなの他にありませんよ。時期によってアラなども入ってきますよね。平戸勝ちですよ。
黒田
平戸は豊かな漁場に恵まれ、海山の幸が300種類ほど獲れます。採算性もいろいろ考えながら、広く親しまれる商品開発をしていきたいです。
服部
平戸独特の地産地消に、400年前から続く南蛮の食材との融合、特別な鍋にしましょうよ。
黒田
はい。平戸の歴史を象徴した形で作りたいですね。先生もぜひ一度平戸へお越しください。
服部
伺わせていただきたいですね。今日はありがとうございました。

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